デジタル遺言制度導入で何が変わるのか?知っておきたい相続の問題

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政府は2028年度の運用開始を目指し「デジタル遺言」制度を導入します。スマホ等での作成が可能で、マイナンバーカード等で本人確認を行い、法務局が管理することで紛失や改ざんを防ぎます。背景には所有者不明土地等の社会問題があり、作成のハードルを下げ円滑な相続を促す狙いがあります。

デジタル遺言制度とは?

デジタル遺言とは、これまで原則「自筆(手書き)」が必須だった遺言書を、スマートフォンやパソコンで作成・管理できるようにする新しい制度です。2028年度頃の運用開始が予定されています。

従来の制度には、手軽だが無効や紛失のリスクがある「自筆証書遺言」と、確実だが費用と手間がかかる「公正証書遺言」がありましたが、デジタル遺言はその「いいとこ取り」を目指しています。法務局がデジタルデータとして管理することで、安全性と利便性を両立させ、遺言作成のハードルを下げる狙いがあります。

具体的な作成プロセス

デジタル遺言は、自宅にいながらオンラインで手続きが完結する仕組みが検討されています。

  • 作成: スマホやPCを使い、専用のフォーマットに入力します。これにより、日付漏れなどの形式的な不備を防ぎ、修正も容易になります。
  • 本人確認: マイナンバーカードのICチップを活用した「電子署名」を行い、本人が作成したことを証明します。
  • 送信・保管: 作成したデータをオンラインで法務局へ送信します。
  • 面談: 本人確認をさらに確実にするため、法務局の担当者とオンライン等で面談し、内容の読み上げ確認を行うプロセスも検討されています。
  • メリット: 保管後は家庭裁判所での「検認」手続きが不要になるため、遺族の負担も軽減されます。

生成AIやなりすましは大丈夫?

デジタル化において最大の懸念は、本人以外が作成する「なりすまし」や、AIによる偽造です。

  • なりすまし対策: 前述のマイナンバーカードによる厳格な認証に加え、対面またはオンラインでの本人面談を組み合わせることで、二重のチェック体制を敷く方針です。
  • AI・ディープフェイク対策: 今回の検討では「動画による遺言」も議論されましたが、生成AIによる精巧な偽動画を判別することが困難であるとして、現時点では採用が見送られました。
  • 内容の不備: デジタル化で「形式」のミスは防げますが、特定の親族にのみ有利な内容にするなど「法律(遺留分)に反する内容」は防げません。これについては、引き続き専門家への相談が推奨されます。

まとめ

デジタル遺言の解禁は、単なる「デジタル化」ではなく、日本が抱える「大相続時代」の課題解決に向けた大きな一歩です。

遺言書がないことで発生する「老老相続による認知症問題」や「所有者不明土地問題」は、社会全体のインフラ整備を阻む深刻な壁となっています。スマホで手軽に意思を残せる環境が整うことで、財産争いの防止だけでなく、次世代へのスムーズなバトンタッチが期待されています。制度開始を機に、家族で「もしも」の時の意思表示について話し合うことが重要です。

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