実態のない宗教法人の不正利用を調査へ そもそも宗教法人が税制優遇を受けるのはなぜ?

生活・くらし

文化庁は、活動実態のない「休眠宗教法人」が脱税やマネロンに悪用される事例を防ぐため、初の実態調査に乗り出します。非課税措置などの税制優遇を狙った不正取得が後を絶たず、国際組織からも対策を求められていました。同庁は調査結果を基に、悪用防止のガイドラインを策定する方針です。

日本の宗教法人の税制優遇について

宗教法人は、その公益性(社会の利益になる活動)から、主に以下の優遇を受けています。

  • 非課税: お布施、寄付金、お守り・御朱印の授与料などは「宗教活動」とみなされ、法人税がかかりません。
  • 収益事業の低税率: 駐車場経営などの事業も、一般企業(約23%)より低い19%の軽減税率が適用されます。
  • 固定資産税の免除: 境内地や本堂など、宗教活動に直接使用する不動産には固定資産税がかかりません。

そもそもなぜ宗教法人が税制優遇されているのか?

最大の理由は、憲法が保障する「信教の自由」を守るためです。 国家が宗教団体に重い税を課すと、税を武器に特定の宗教を弾圧したり、干渉したりする恐れがあります。また、宗教活動は本来「営利を目的としない公共の利益(心の救済や伝統文化の継承)」を担うものと考えられているため、税制面で手厚く保護されているのです。

寄付金は帳簿に記載されなくてもバレない?

結論から言うと、「短期的にはバレにくいが、リスクは非常に高い」のが実情です。 お布施や寄付金には領収書を発行しない文化があるため、不透明な資金の流れが生まれやすいのは事実です。しかし、今回の文化庁の調査のように、法人の活動実態(代表者の生活実態や不動産の動き)から足がつくケースが増えています。特にマネロンに悪用されると、銀行口座の動きから高確率で発覚します。

公明党離脱によりメスが入れやすくなった?

政治的な力学の変化も背景にあります。 これまで、支持母体に巨大な宗教団体を持つ公明党が政権与党内にいたことで、宗教法人の透明性を高める法改正や調査には慎重な議論が続いてきました。しかし、政権の枠組みやパワーバランスが変化したことで、「宗教の聖域化」を是正し、脱税や不正利用に対して厳格に調査・規制を行うべきだという世論や行政の動きが加速しやすくなっています。

参考:日本の宗教観念は世界の中では非常識?

日本人の感覚だと、他者の宗教を論じるのはなんとなくタブーのような気がしますが、そんな感覚は日本独特のものなのかもしれません。今回、宗教法人に関して調査のメスを入れることを決めたのは、以下のような背景があると言われています。

1. 世界から「日本のルールは甘すぎる!」と怒られた

これが一番大きな理由です。FATF(ファトフ)という、テロ資金やマネロンを取り締まる国際組織が、2021年に「日本の宗教法人は悪用されるリスクがあるのに、対策が不十分だ」と名指しで警告しました。 日本がこれを放置すると、国際的な信用を失い、日本の銀行が海外と取引しにくくなるなどの実害が出るため、国として重い腰を上げた形です。

2. 「休眠法人」が5,000件以上に増えてしまった

活動していない「名前だけの宗教法人(休眠法人)」は、2024年末で5,019法人に達し、前の年より500件以上も増えています。 これらは、後継者がいなくなったお寺や神社ですが、これを「節税・脱税の道具」として欲しがるブローカーとの間で売買されるケースが目立ってきました。「放置すると犯罪の温床になる」という危機感が限界に達したのです。

3. 社会の目が厳しくなった(「聖域」の終わり)

以前は「宗教に国が口を出すのはタブー」という空気がありましたが、近年、特定の宗教団体を巡る社会問題が大きく報じられ、「宗教法人だからといって、不透明なままなのはおかしい」という世論が強まりました。 これを受けて、文化庁も2025年度から予算を投入して、本格的な実態調査とガイドライン作りを開始することになったのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました