4月より改正民法が施行され、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」が選択可能になります。子の利益を最優先とし、進学等は協議、日常行為は単独で判断します。DVや虐待がある場合は単独親権に限定。あわせて、取り決めがなくても請求できる「法定養育費」制度なども新設されます。
共同親権の主な内容は?
1. 「共同親権」と「単独親権」の選択制
これまでは離婚後、父母のどちらか一方しか親権を持てない「単独親権」のみでしたが、改正後は父母の協議により「共同親権」か「単独親権」かを選べるようになります。
- 合意ができる場合: 共同親権を選択可能。
- 合意ができない場合: 家庭裁判所が「子の利益」を最優先に判断し、どちらかに決定します。
- 強制的な単独親権: 虐待やDVの恐れがある場合は、必ず単独親権となります。
2. 役割分担のルール
共同親権であっても、すべての決定に双方の同意が必要なわけではありません。スピード感や生活の実態に合わせたルールが設けられています。
- 共同で決めること: 居住地の変更(転居)、進学先の決定、難病の手術など、子の人生に重大な影響を与える事項。
- 単独で決められること: 習い事の選択、アルバイトの許可、日常の食事などの「日常の行為」。また、緊急手術などの「急迫の事情」がある場合。
3. 法定養育費制度の新設
養育費の取り決めをせずに離婚した場合でも、最低限の支払いを請求できる「法定養育費」制度が始まります。
- 金額: 子供1人につき月額2万円。
- 目的: 支払いの合意がなくても、子供の生活を最低限保障するための補助的な仕組みです。
4. すでに離婚している場合
施行前に離婚し、すでに単独親権となっているケースでも、家庭裁判所に申し立てを行うことで共同親権への変更が可能になります。ただし、過去にDVや虐待があった場合や、正当な理由なく養育費を長期間滞納している場合などは認められない可能性があります。
共同親権のメリットとデメリット
共同親権の導入は、日本の家族観や離婚後の親子関係における大きな転換点となります。主なメリットとデメリットを整理しました。
■メリット
- 子の利益の保護
離婚後も双方の親が養育に責任を持つことで、経済的な支援(養育費)が滞りにくくなり、子供が両親から愛情を受け続ける環境を維持しやすくなります。
- 「単独親権」争いの緩和
これまでは「どちらか一方が親権を失う」という仕組みだったため、離婚時に激しい親権争いが起きがちでした。共同親権が選択肢に加わることで、対立の激化を防げる可能性があります。
- 育児の負担分散
進学や病気などの重要な決断を一人で抱え込まず、相談しながら進められることで、同居親の精神的・実務的な負担が軽減される面があります。
■ デメリット・懸念点
- DVや虐待の継続リスク
もっとも懸念されている点です。形式上「共同」となることで、加害側の親が支配を続けたり、居場所を特定されたりするリスクを指摘する声があります。
- 意思決定の遅延
転居や進学など、双方の合意が必要な事項で意見が対立した場合、物事が決まらずに子供の生活に支障が出る恐れがあります。
- 家庭裁判所の負担増
意見がまとまらない場合の裁定や、DVの有無の判断など、家庭裁判所が扱う案件が急増し、適正かつ迅速な判断が難しくなる可能性が懸念されています。
比較まとめ
| 項目 | 共同親権(メリット) | 単独親権(メリット) |
| 意思決定 | 両親の視点を取り入れられる | 迅速に決断できる |
| 子供との関係 | 双方との交流が続きやすい | 葛藤から離れ、安定しやすい |
| 安全面 | 孤立を防げる | DV等の影響を遮断できる |
既に離婚している夫婦でも適用されるの?
改正民法の施行(2026年4月1日)より前に離婚が成立しているケースについても、家庭裁判所に申し立てを行うことで、後から「共同親権」へ変更することが可能です。
ただし、以下の点に注意が必要です。
1. 自動的に切り替わるわけではない
施行されたからといって、すべての元夫婦が自動的に共同親権になるわけではありません。あくまで家庭裁判所への「親権者変更の調停・審判」の申し立てが必要になります。
2. 変更が認められないケース
家庭裁判所は「子の利益」を最優先に判断するため、以下のような状況がある場合は変更が認められない可能性が高いです。
- DV(家庭内暴力)や虐待の事実がある、またはその恐れがある場合。
- 片方の親が、正当な理由なく養育費を長期間支払っていないなど、養育の意思や責任に欠けると判断される場合。
- 父母間の対立が極めて激しく、共同で親権を行使することが困難とみなされる場合。
3. 子供の意思の尊重
お子さんがある程度の年齢(概ね15歳以上など)に達している場合は、お子さん自身の意向も重要な判断材料となります。
まとめ
日本での共同親権の制定は、初めての試みとなります。今回の改正は、「離婚しても親であることに変わりはない」という考え方を法的に反映し、子供が両親から適切な支援を受けられるようにすることを目的としています。


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