厚生労働省の発表によると、2025年の1人あたり平均現金給与総額は前年比2.3%増と5年連続で上昇しましたが、物価高騰の影響がそれを上回り、実質賃金は前年比1.3%減となりました。実質賃金のマイナスは4年連続です。賃金は堅調に推移しているものの、依然として物価上昇に追いついていない状況です。
過去10年間の平均給与と社会保険料の推移
以下の表は、額面年収(平均給与)と、そこから差し引かれる社会保険料率の推移を概算で示したものです。
| 年次(年度) | 平均給与(額面) | 社会保険料率(労使合計・概算) | 主な変動要因 |
| 2015年 | 約420万円 | 約29.1% | 厚生年金保険料の段階的引き上げ中 |
| 2017年 | 約432万円 | 約29.7% | 厚生年金保険料の引き上げ完了(18.3%固定) |
| 2019年 | 約436万円 | 約29.8% | 介護保険料率の上昇 |
| 2021年 | 約443万円 | 約30.0% | 雇用保険料率は据え置き(コロナ特例等) |
| 2023年 | 約458万円 | 約30.5% | 雇用保険料率の引き上げ(2回) |
| 2025年 | 約460万円 | 約31.0%超 | 介護保険料・健康保険料の微増傾向 |
物価上昇に負けないための対策は?
物価高騰と社会保険料の増加という「ダブルパンチ」に対し、家計を守るための具体的な対策を3つの視点(守り・攻め・整え)で提案します。
1. 固定費の「強制削減」とポイント経済圏への集約
変動費(食費など)を削るのは限界がありストレスも溜まります。まずは「一度の手間で効果が続く」固定費を見直しましょう。
- スマホ・ネット回線の乗り換え: 格安SIM(MVNO)やキャリアのオンライン専用プランへの変更で、月数千円の削減が可能です。
- 「ポイ活」の徹底: 決済手段を1〜2つに絞り(楽天、PayPay、Vポイントなど)、公共料金や日用品の支払いを集約します。還元率1%でも、年間100万円の支出があれば1万円の節約に直結します。
2. 「新NISA」を活用した資産のインフレ防衛
銀行に預けているだけの現金は、物価が上がると相対的に価値が下がります(実質的な目減り)。
- 非課税制度の活用: 新NISAの「つみたて投資枠」などを利用し、世界経済の成長に連動するインデックスファンド等へ少額から投資を検討してください。
- 目的: 投資は「増やす」だけでなく、物価上昇率以上の利回りを確保して「資産の価値を守る」ための不可欠な手段となります。
3. リスキリングによる「市場価値」の向上
記事にある通り「名目賃金(額面)」自体は上昇傾向にあります。この波に乗るため、今の職場で昇給を待つだけでなく、自らの単価を上げる準備をします。
- 専門スキルの習得: 厚生労働省の「教育訓練給付金」などを活用すれば、IT、会計、語学などの講座受講費の最大70%(特定一般教育訓練なら40%、専門実践教育訓練なら最大70%)が戻ってきます。
- 副業・転職の検討: 自分のスキルが他社でいくらになるか市場価値を把握しておくだけでも、賃上げ交渉の材料や将来の備えになります。
今後、高市政権の政策で、生活は楽になるのか?
2026年現在の高市政権が掲げる「サナエノミクス」や積極的な財政政策が、私たちの生活を楽にするかどうかについては、「短期的・直接的な支援」と「中長期的な物価上昇リスク」の両面から考える必要があります。
結論から言えば、「特定の世帯には即効性のあるプラスがあるが、全体としては物価との追いかけっこが続く」という展開が予想されます。
生活が「楽になる」可能性(プラス面)
高市政権は、従来の「困窮世帯への給付」だけでなく、中間層や働く世代への直接的な還元を重視しています。
- 手取りを増やす税制改正: インフレに合わせて基礎控除等を引き上げる「物価連動型の控除」や「給付付き税額控除」の導入を検討しています。これが実現すれば、実質的な減税となり手取りが増えます。
- エネルギー・燃料コストの抑制: ガソリン税の旧暫定税率の廃止や、電気・ガス代への強力な補助金継続を打ち出しています。車社会の地方や、光熱費負担の大きい世帯には大きなメリットです。
- 積極的な投資による賃上げ支援: AIや半導体、経済安全保障分野への巨額投資を通じて「強い経済」を作り、企業が賃上げしやすい環境を整える方針です。
生活が「苦しくなる」懸念(マイナス面)
一方で、高市政権の「積極財政(政府がたくさんお金を使うこと)」には副作用の懸念もあります。
- さらなるインフレ(物価高): 政府が市場にお金を流し続けることで、需要が供給を上回り、物価上昇が加速するリスクがあります。せっかくの賃上げや減税分が、物価高で相殺されてしまう可能性があります。
- 金利上昇の家計への影響: 積極財政に伴い長期金利が上昇した場合、住宅ローンの変動金利が上がり、住居費負担が増える世帯が出てくる可能性があります。
- 円安の進行: 拡張的な財政政策は、市場から「日本の財政悪化」と見なされると、さらなる円安を招き、輸入食品やエネルギー価格を再び押し上げる要因になります。
まとめ
現在の日本経済は、「額面(名目賃金)は上がっているが、物価と負担増に追い付いていない」という構造的な課題に直面しています。
1. 「手取り」が増えない構造的要因
直近10年で平均給与は緩やかに上昇していますが、以下の2点が生活の実感を押し下げています。
- 物価高騰: 特に2023〜2024年にかけて、賃上げ率を上回る物価上昇(実質賃金マイナス)が続きました。
- 社会保険料の増加: 厚生年金や雇用保険、介護保険料率の引き上げにより、額面が増えても社会保険料として差し引かれる金額が大きくなっています。
2. 政治(高市政権)による変化の可能性
2026年現在の高市政権は、この「実質賃金マイナス」を打破するために積極財政と投資を軸に据えています。
- 期待: 物価連動型の減税やエネルギー補助金により、直接的に家計の「可処分所得(手取り)」を増やす狙いがあります。
- リスク: 積極的な財政出動は、さらなる物価高や金利上昇を招くリスクも孕んでおり、私たちの生活が楽になるかは「政策のスピードがインフレに勝てるか」が分かれ道です。
3. 私たちが取るべき「3つの生存戦略」
国や企業の動きを待つだけでなく、個人でできる対策が重要です。
- 守り: 固定費(通信費・保険など)の見直しとポイント経済圏への集約。
- 攻め: 新NISAなどを活用し、インフレで目減りする「現金」を「資産」に組み替えて守る。
- 備え: リスキリング等で自らの市場価値を高め、インフレ以上の昇給・転職を目指す。
結論として、 国は「手取りを増やす」政策へ舵を切っていますが、物価高と社会保険料の重圧は依然として強力です。公的な支援(減税や補助金)を賢く利用しつつ、自衛策を並行して行うのが最も現実的な「生活を楽にする方法」と言えます。


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